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[装画の仕事]
寺地はるな さんの新刊
『わたしの良い子』中央公論新社
で装画を担当しました。
デザインは鈴木久美さんです。

昔なつかしい児童書の大人向けといったイメージで、ということで背も扉もそんな雰囲気に。
打ち合わせから心踊るお仕事でした。
カバーを外した表紙も小花柄で素敵なんですよ。

子育ての話だけれど、そうでもない。独身の女性が妹の子を育てるなかで出会う想い。
寺地さんの小説に関わるのは3作目ですが、誰の中にもありそうな自分でもよく分からない引っかかりのようなものに、やさしい言葉で気づかされるという体験が毎回あります。

書店で見かけたらぜひ手にとってご覧ください。

『わたしの良い子』_e0084542_22512360.jpg


『夢をかなえる時間の使い方』_e0084542_14261756.jpg
『夢をかなえる時間の使い方』櫻井恵里子・著(大和書房)
で、表紙カバー、本文の飾り罫などのカットを描きました。

ディズニー社のノウハウを使ったこのような実用書ってずいぶんあるのですね。
書店にいくとコーナーになっていたりします。
今回はディズニーを思わせる雰囲気の絵を読者に合わせて大人っぽく描いています。
カバーのタイトルはゴールドでキラキラと。
新年度の始まるこの季節に、わくわくしながた手に取っていただきたい1冊です。





『装画の仕事』展_e0084542_13583153.jpg

企画展に参加しています。
書籍の装画となった原画とその書籍を展示するもの。
参加イラストレーターはおよそ40名、それぞれ1冊ずつ出品しています。
私は昨年の新潮文庫『ガラスの靴』を。

自分が仕事で装画を描く時は、原画からデザイナーさんがタイトルや著者名をレイアウトして下さったのを見るときが一番楽しみで
「この絵がこんな表紙に!」と毎回嬉しい驚きがあります。
そして逆に、書店で見かけた本の表紙原画を展示等で拝見すると、印刷とはまたちがった原画ならではの魅力を発見することも多くあります。

私の原画はさておき、
今回の展示はイラストレーターさんの絵の魅力と、デザイナーさんのデザイン力の両方を感じられるものではないかと思います。
ギャラリー内は様々な個性の作品、書籍がぎっしりです。
ぜひそんな絵の魅力、デザインの魅力、そして主役の本の魅力をゆっくりとご覧ください。

2018年04月03日(火)~ 2018年04月13日(金)
12:00~19:00 (最終日17:00まで)月曜休廊
http://gallery-dazzle.com/exhibitions/「装画の仕事」展/

gallery DAZZLE

〒107-0061 東京都港区北青山2-12-20 山西ビル101
Google map
tel & fax 03-3746-4670



『プレジデントWOMAN』元気になる言葉_e0084542_19045964.jpg
この冬から一年間、プレジデント社の『プレジデントWOMAN』にて、
「元気になる言葉」のページの絵を担当しています。
暮れに発売された12月号から冬➡春➡夏➡秋と三ヶ月ごとに季節を感じる植物を描いていきますよ。

活き活きと活躍される女性たちへのインタビューや取材記事がたくさんな毎号の中から
元気になる言葉をピックアップして掲載されています。
巻頭にあって、目にしやすい、ぱっと元気になれる!ページです。

書店でぜひ手に取ってご覧下さい。










『エヴァの震える朝-15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ-』_e0084542_15494683.jpeg
『エヴァの震える朝-15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ-』
エヴァ・シュロス 著/吉田寿美 訳(朝日文庫)

装画を担当した文庫本が発売になりました。
背景の植物画を、寒い収容所で失うことのなかった高潔さのようなものを思いながら描きました。
モノクロの写真と合わせて上品なデザインにしてくださったのは鈴木久美さんです。
塗り画・写真・線画と三層になっています!

この本の帯には「アンネ・フランクの義姉が告白する、『アンネの日記』の続きの物語」。
著者のエヴァさんはアンネと同世代の女性で、少女時代アンネとは別の家族でしたが、
彼女らと同様、ユダヤ人として身を隠し、捕まり、収容所に入れられました。
アンネは収容所で亡くなりましたのでアンネの日記は隠れ家生活のものですが、このエヴァさんはその後収容所から生還します。
この著書は長年語ることの出来なかった戦時中の生活、収容所での出来事が綴られたものです。

このお正月、たまたま息子が義母から戦時中の話を聞いていました。
義母はちょうど今の息子と同じくらいの年で終戦を迎えたそうで、竹槍で戦う訓練をした話などを昔話のようにしていました。
昨今ではこのように体験者から話を伺える機会は減っていますが、
私が幼い頃は「おじいさんおばあさんから戦争の話を聞いてくる」という宿題が出たりしたものです。
話を聞きにいくと、いつもは調子よく強気でおしゃべりな祖母が、昔を語りながら
「本当はもう思い出したくない」といって涙ぐんでいたのを見て、話の内容以上に衝撃を受けたことを覚えています。
人の体験を聞くとは、そうゆうことだと思うのです。話し方、思い出す様子、それに伴う感情、そのひとつひとつを受け取ることになります。

ずっと語ることが出来なかったエヴァさんもこの著書のなかでは、
大人の自分が客観視しているようであったり、時には15歳の少女の思いになっていたり、感情が入れ混ざっているように受け取れます。
それでも本当につらい部分には触れることは出来なかったんじゃないか、そんなことを想わせられたドキュメンタリーです。

小学生から中学生の頃、アンネ関連の書籍が何冊も刊行されて書店に美しく並んでいました。
それをいくつも読んでいた私でしたが、収容所の生活についてはほとんど知ることがありませんでした。
私のように、かつてアンネの日記を読んで成長した大人たち、
またいま現在、当時のアンネやエヴァたちと同世代の少年少女たちにもぜひお勧めしたい1冊です。