『エヴァの震える朝-15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ-』


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『エヴァの震える朝-15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ-』
エヴァ・シュロス 著/吉田寿美 訳(朝日文庫)

装画を担当した文庫本が発売になりました。
背景の植物画を、寒い収容所で失うことのなかった高潔さのようなものを思いながら描きました。
モノクロの写真と合わせて上品なデザインにしてくださったのは鈴木久美さんです。
塗り画・写真・線画と三層になっています!

この本の帯には「アンネ・フランクの義姉が告白する、『アンネの日記』の続きの物語」。
著者のエヴァさんはアンネと同世代の女性で、少女時代アンネとは別の家族でしたが、
彼女らと同様、ユダヤ人として身を隠し、捕まり、収容所に入れられました。
アンネは収容所で亡くなりましたのでアンネの日記は隠れ家生活のものですが、このエヴァさんはその後収容所から生還します。
この著書は長年語ることの出来なかった戦時中の生活、収容所での出来事が綴られたものです。

このお正月、たまたま息子が義母から戦時中の話を聞いていました。
義母はちょうど今の息子と同じくらいの年で終戦を迎えたそうで、竹槍で戦う訓練をした話などを昔話のようにしていました。
昨今ではこのように体験者から話を伺える機会は減っていますが、
私が幼い頃は「おじいさんおばあさんから戦争の話を聞いてくる」という宿題が出たりしたものです。
話を聞きにいくと、いつもは調子よく強気でおしゃべりな祖母が、昔を語りながら
「本当はもう思い出したくない」といって涙ぐんでいたのを見て、話の内容以上に衝撃を受けたことを覚えています。
人の体験を聞くとは、そうゆうことだと思うのです。話し方、思い出す様子、それに伴う感情、そのひとつひとつを受け取ることになります。

ずっと語ることが出来なかったエヴァさんもこの著書のなかでは、
大人の自分が客観視しているようであったり、時には15歳の少女の思いになっていたり、感情が入れ混ざっているように受け取れます。
それでも本当につらい部分には触れることは出来なかったんじゃないか、そんなことを想わせられたドキュメンタリーです。

小学生から中学生の頃、アンネ関連の書籍が何冊も刊行されて書店に美しく並んでいました。
それをいくつも読んでいた私でしたが、収容所の生活についてはほとんど知ることがありませんでした。
私のように、かつてアンネの日記を読んで成長した大人たち、
またいま現在、当時のアンネやエヴァたちと同世代の少年少女たちにもぜひお勧めしたい1冊です。







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