夏の想い出

田舎育ちのインドア派なわたくしが、
この夏はめずらしく山に出かけた。
気心の知れた旧友とその子どもたちと一緒に、
目の前は空、遥かかなたに普段生活している場所が見渡せるようなところで丸一日を過ごした。
年に1度か2度しか顔を合わせないはずの子ども同士は、なぜか気が合うらしく
何があるわけでない山の一角でまさに寝る直前まで、そして起きても朝飯前から、よく遊んだ。
母たちも、特別なことはせず、ただ普段と大して変わらない食事を作って、
よく笑い、よくしゃべった。
夜は満天の星だった。
天の川らしきものも見えた。そして東京は猛暑日だったが、そこは寒かった。
思いがけず、携帯が圏外だったのもよかった。
ぜったいに電話がかかってこない、メールも来ない、気になることがあっても調べられない、
これが想像以上に気持ちを軽く、ゆるめてくれた。
朝日の中で、大空に向かって食べる朝食がおいしかった。
いつもと同じパンやハムだったけれど、ハイジとおんじが食べるパンとチーズの気分だった。

しばらく日を置いてから、今度は実家に帰省した。
田舎といっても我が家の環境がのどかなだけで、周辺には住宅地も市街地もある。
今年は、アウトドア派な妹も帰省したので、
彼女の指南で、軒先バーベキューなどをしてみた。
実家のキッチンからなんでも出てくるお手軽バーベキュー。
なのに米だけは息子が必死になって飯盒で炊いて、おいしかった。
私はまったく、バーベキューなんて興味もなかったはずだったが、
外で食べる食事はたとえ庭でもやっぱりおいしかった。
夕方から夜になり、時おり小雨もまじえつつ
お手軽チーズフォンデュでビールをのみながら、炭の火を眺めるのもよかった。
結論、
私が苦手だったのはアウトドアレジャーだった。
ごく普通の暮らしの中に大きな空やどこまでも続く雲があったり、
風や雨の匂いを感じたりすることは、やっぱり幸せに感じるものだと、今更ながら気づく。
そりゃそうだ、そうやって育ってきたんだから。
こうして、ずいぶんとリフレッシュできた今年の夏の想い出。
by ayako-iwagami
| 2016-08-24 12:00
| 日々の記し-ひびのしるし-