眺め

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実家から歩いて3分ほどのところに
陽当たりのよい丘がある。

私が小学生のころに
芝生で覆われたきれいな姿になり
妹や友達と、ただただ走り回ったり
木に登ったりして遊んだ。
わが家も含めてこのあたりは市内の外れで
徒歩か自転車しか移動手段のない子供にとっては
不便だし刺激的でもなかったと思う。

丘の下には小さな川、そこから広がる一面の田畑の先に住宅地、駅前、と続く。
大人しくて保守的な子供だった私は
市街地を一望できるこの場所が気に入っていた。
それは町への憧れとは違っていて、
街を少しの高みから眺めている自分がいま立っている場所への、
ほのかな誇りのようなものだった気がする。
私は、ただ草と木が生えているだけのこのあたりの地面が好きだった。


今、
丘にはマリーゴールドが植えられて、花畑のようになっている。
川は整備され、田畑は開発のために重機に掘り起こされ一面が工事現場。
緑の面影はほとんどない。
思いはもちろん複雑だけれど
私だってこの場所を離れて遠い街へ出ていったひとり。

野原を走り、バッタを追い
そしてたくさんのシャベルカーを眺めて喜ぶ息子と
久しぶりに丘で過ごしたひととき。
眺めも変わったけれど、共に過ごす家族も変わり。
きっと、私も変わったはず。


今日は東京に帰ります。
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